歴史
起源
Cilium は 2015 年末に始まった。Thomas Graf、Daniel Borkmann、André Martins、Madhu Challa らが、Linux カーネルネットワーキングの出身者として開始した。彼らは Open vSwitch や iptables 時代のツールに携わってきた。彼らの賭けは、コンテナの動的・短命な性質がアドレスベースのネットワーキングを追い越してしまっており、eBPF なら IP ではなく intent と identity に駆動される高性能なコンテナ datapath を実現できる、というものだった。最初期のバージョンは IPv6 only で、これは時代に早すぎた (Cloud Native Now, Heavybit Kubelist Ep.30)。リポジトリ自体は 2015-12-16 に GitHub 上で作成された (GitHub API)。
プロジェクト開始の翌年、Thomas Graf と Dan Wendlandt が商業的に支えるため Isovalent (当初 Covalent) を共同創業した。両者は Nicira / Open vSwitch 時代からの繋がりがある (Cloud Native Now)。
年表
| 年 | マイルストーン |
|---|---|
| 2015 | プロジェクト開始、GitHub にリポジトリ作成 (2015-12-16) |
| 2016 | Thomas Graf と Dan Wendlandt が Isovalent (当初 Covalent) を共同創業 |
| 2021 | CNCF に Incubating レベルで受理 (2021-10-13) |
| 2022 | graduation 申請を提出 (2022-10-27) |
| 2023 | CNCF を Graduated (2023-10-11)、CNI として初 |
| 2023 | Cisco が Isovalent 買収を発表 (2023-12-21) |
どう進化したか
Cilium は 2021-10-13 に Incubating として CNCF に入り、2023-10-11 に graduate し、CNI として初の Graduated プロジェクトになった。graduation 時点で CNCF は、commit 数で Kubernetes に次ぐ最も活発なプロジェクトの 1 つであると述べ、7 社のメンテナ企業と 800 人超の個人コントリビュータを挙げた (CNCF announcement, CNCF project page)。graduation 申請は 2022-10-27 に提出され、完了まで約 1 年を要した。
この期間にスコープは CNI プラグインを大きく超えて広がった。kube-proxy 置換、eBPF と per-node Envoy で構築されたサイドカーレスのサービスメッシュ、マルチクラスタネットワーキングのための ClusterMesh、透過暗号化、BGP、そして Hubble 可観測性レイヤが加わった (The New Stack)。
2023-12-21、Cilium 最初のコードから約 7 年後、Cisco が Isovalent 買収を発表した。Cisco は以前から同社の Series A 投資家だった。Thomas Graf は Cisco Security 内の CTO 兼 VP Engineering に就き、Cilium と Tetragon はともに CNCF 下のオープンソースとして継続すると述べられた (The Register, The New Stack)。
現在地
本プロジェクトは Graduated な CNCF プロジェクトである。ドキュメント基準コミットでは VERSION ファイルが main 上で 1.20.0-dev を示しており、これは未リリースの開発版だ。直近の安定リリースタグは v1.19.5 である。メンテナとコミッタは MAINTAINERS.md に列挙され、ガバナンスとコントリビュータラダーは別リポジトリの cilium/community に文書化されている。多くのメンテナは Isovalent/Cisco 所属だが、社外コミッタも存在する。