歴史
起源
KServe は 2018 年に KFServing として始まった。IBM は KubeCon + CloudNativeCon NA 2018 で Knative を使ったサーバレスな ML モデルサービングを提案し、同時期に Bloomberg も Knative での推論を実験していた。両者は Kubeflow Contributor Summit 2019 (Sunnyvale) で合流した。当時 Kubeflow にモデルサービングコンポーネントが無かったため、任意の ML フレームワーク向けの標準的かつ簡素なサービングの sub-project を立ち上げた (CNCF blog, 2025-11-11)。
KFServing 自体は 2019 年に Google・IBM・Bloomberg・NVIDIA・Seldon の協働で開発され、OSS として公開された。KubeCon NA 2019 でデビューし、エンドユーザの関心を集めた (CNCF blog; Kubeflow blog, 2021-09-27)。
年表
| 年 | マイルストーン |
|---|---|
| 2018 | IBM が KubeCon NA で Knative ベースのサーバレス ML サービングを提案。Bloomberg も並行して実験 (出典) |
| 2019 | Google・IBM・Bloomberg・NVIDIA・Seldon が KFServing を開発し KubeCon NA でデビュー (出典) |
| 2021-09 | リポを kubeflow/kfserving から独立 org kserve に移管し KServe に改名。Bloomberg が主導 (出典) |
| 2022-02 | LF AI & Data Foundation へ寄贈 (出典) |
| 2022-09 | standalone な KServe にリブランドし Kubeflow から卒業 (出典) |
| 2025-06 | v0.15 で生成 AI 向けを前進 (vLLM バックエンド、LLMInferenceService) (出典) |
| 2025-09-29 | CNCF TOC が KServe を Incubating として受理 (出典) |
| 2025-11-11 | KubeCon NA で Incubating を公開アナウンス (出典) |
どう進化したか
最初の大きな転機はガバナンス。2021 年 9 月、Kubeflow Serving WG はコントリビュータ層を広げるため kubeflow/kfserving リポを独立 org kserve に移し、KFServing を KServe に改名した。移管は Bloomberg が主導した (Kubeflow blog)。その後 2022 年 2 月に LF AI & Data へ寄贈され、2022 年 9 月までに Kubeflow から完全に分離した (CNCF blog)。
2 つ目の転機はスコープ。KServe は予測モデルのサービングとして始まり、2025 年の v0.15 で生成 AI に広がった。vLLM バックエンドの強化と、disaggregated serving と prefix caching を扱う新しい LLMInferenceService リソースである (CNCF blog, v0.15)。コードベースでは v1alpha1/v1alpha2 の LLM CRD として現れる (pkg/apis/serving/v1alpha1/llm_inference_service_types.go:60)。
より静かな転機はデプロイのデフォルト。レガシーなモード名 Serverless と RawDeployment は Knative と Standard に改名され、デフォルトは Standard に倒れた (pkg/constants/constants.go:550-554)。KServe はもはや Knative の存在を前提にしない。
現状
最新のリリースタグは v0.19.0 で、Python パッケージのバージョンも 0.19.0 (python/kserve/pyproject.toml)。本ディープダイブはそのリリース後の開発ライン master の 58d137d を読む。KServe は 2025-09-29 に CNCF Incubation へ入り、TOC スポンサーは Faseela K と Kevin Wang で、中立ガバナンス下に置かれた。メンテナはリポの MAINTAINERS.md に列挙される (CNCF blog)。