歴史
起源
Cortex は 2016 年 6 月の設計文書 "Project Frankenstein: A Multi Tenant, Scale Out Prometheus" に始まり、続いて PromCon 2016 で同名のトークが行われた。発案は Tom Wilkie (当時 Weaveworks、後に Grafana Labs) と Prometheus 共同作者 Julius Volz で、Weaveworks の hosted Prometheus サービスのエンジンとして動いていた (Grafana Labs blog)。
発端となった課題は、単体の Prometheus が 1 台のマシンのスループットとストレージで頭打ちになり、HA 構成も弱く、1 クラスタ内で多数の独立した Prometheus テナントを隔離できないこと。Cortex は remote write を中央で受信し水平にシャーディングすることでこれに対処する (CNCF blog)。
年表
| 年 | マイルストーン |
|---|---|
| 2016 | "Project Frankenstein" 設計文書と PromCon トーク。Weaveworks 発。 |
| 2018 | CNCF Sandbox 受理 (2018-09-20)。 |
| 2020 | CNCF Incubating 昇格 (2020-08-20)。Thanos と同時アナウンス。 |
| 2026 | 能動的な開発が継続。v1.21.1 を 2026-06-04 にリリース。 |
どう進化したか
最大のアーキテクチャ転換はストレージだった。当初の chunks storage エンジンは v1.10.0 で deprecated となり、Prometheus TSDB と Thanos のオブジェクトストレージブロックを基盤とする blocks storage に置き換わった。この移行を通じて、Cortex は shipper・store-gateway・compactor のコードを Thanos と共有するようになった (CNCF blog)。
ガバナンスも同じ歩調で成熟した。incubation 時点でプロジェクトは 4 社にまたがる 8 名の maintainer (Grafana Labs, Microsoft, Splunk, Weaveworks) を報告し、EA・Gojek・REWE Digital を 1500 万 active series を超える本番ユーザとして挙げた (CNCF blog)。
2022 年に Grafana Labs は Cortex を Grafana Mimir に fork した。この fork は事実だが、Cortex を止めたわけではない。upstream リポジトリは独立にリリースを出し続けている。
現在地
Cortex は能動的に開発が続く CNCF Incubating プロジェクトのまま。pinned コミット 42c26e7 は 2026-06-23 に push され、リポジトリは archived されておらず、v1.21.1 が 2026-06-04 にリリースされた。一部のサードパーティ比較記事は Mimir fork 後の Cortex を停滞または maintenance mode と書くが、その主張はリポジトリの最近のリリースとコミットに矛盾するため、本書では採用しない。