歴史
起源
Chaosblade は Alibaba 社内の障害テスト/演習ツール「MonkeyKing」から生まれた。Alibaba 自身の説明によれば、その背後には約 10 年の故障注入実践があり、マイクロサービスの依存関係問題の検証から始まり、クラウド/クラウドネイティブ環境での定常状態検証へと広がった。プロジェクトは 2019 年に OSS 公開され、当初は 2 つのリポジトリ構成だった。Go の CLI と基本リソース/コンテナ executor を含む chaosblade と、JVM 用 executor の chaosblade-exec-jvm である。
掲げられた動機は、当時の chaos ツールが「シナリオが散在」「導入が難しい」「実験モデルの標準が無い」「拡張が困難」だったことにある。Chaosblade の答えは実験モデルを標準化し、シナリオを統一的に定義・共有・拡張できるようにすることだった。
年表
| 年 | マイルストーン |
|---|---|
| 2019 | Alibaba が chaosblade (Go CLI) と chaosblade-exec-jvm を OSS 公開 |
| 2020 | v1.0.0-GA: Linux/Windows/Docker/Kubernetes 対応、Java/Golang/JavaScript/C++ カバー、chaosblade-box プラットフォーム追加 |
| 2021 | 2021-04-28 に CNCF Sandbox 入り |
| 2022 | chaosblade-box カオスエンジニアリングプラットフォームの新バージョンをリリース |
| 2026 | Python 製 blade-ai/ エージェント層を追加。mainline は v1.8.0、AI 層は blade-ai-v0.5.1 |
どう進化したか
プロジェクトは単一ツールからプラットフォームへ移行した。Alibaba は、多クラスタ・多環境・多言語の chaos を管理する chaosblade-box を追加したと説明し、v1.0.0-GA 時点で 200+ シナリオ・3000+ パラメータをカバーしたと報告している。アーキテクチャは分割を保った。薄い CLI と、ビルドが clone してパッケージする executor 兄弟リポジトリ群 (chaosblade-exec-os、chaosblade-exec-jvm、chaosblade-exec-cplus 等) であり、新しい障害ドメインは CLI のリライトではなく新規 executor として追加される。
このコミット時点のソースには可視な変更が 2 つある。server コマンドモードは 2023-12-30 に無効化されており、CLI の初期化 (cli/cmd/cmd.go:58) のコメントに記録されている。そのため README には残っているものの、CLI は server サブコマンドを登録しない。また blade-ai/ 配下に Python 製 AI エージェント層が追加された。これは平文の障害記述を受け取り、意図理解・安全審査・注入・検証・回復・レポートを行う orchestration として説明されている。
現在地
Chaosblade は引き続き CNCF Sandbox である。同カテゴリの Chaos Mesh と LitmusChaos は一段上の Incubating にある。2025 年の調査論文 (arXiv 2505.13654) は ChaosBlade を Sandbox かつ多数のリリースにわたり継続開発中と位置づけている。LFX Insights は単一 contributor への集中リスクを報告しており、直近の四半期では 1 人の contributor が活動の半分超を占めた。mainline のリリースは v1.8.0、新しい AI 層は別系列で blade-ai-v0.5.1 (2026-06-23) である。Go モジュールは go 1.25 を対象とする (go.mod:17)。