Tekton
Kubernetes ネイティブな CI/CD フレームワーク。パイプラインもタスクもその実行もカスタムリソースで、すべてのステップは Pod の中のコンテナ。
- カテゴリ: App Definition & GitOps
- CNCF 成熟度: Incubating (受け入れ 2026-03-13、発表 2026-03-24)
- 言語: Go 1.26.4
- ライセンス: Apache-2.0
- リポジトリ:
tektoncd/pipeline - 記述時のコミット:
9dec5e4b(2026-09-04、v1.16.0の 4 コミット先)
何をするものか
Tekton は継続的デリバリのための語彙を Kubernetes に与える。作業の単位は Task で、その中身は順序付きの step の並び。step ひとつがコンテナイメージとコマンドの組になる。ワークフローは Pipeline で、タスク同士の依存関係の集合として書く。実行するには TaskRun か PipelineRun を作ればよく、クラスタ内のコントローラがそれを Pod に変える。
ビルドサーバは存在しない。スケジューラは Kubernetes のスケジューラ、隔離の境界はコンテナ、状態は他の Kubernetes オブジェクトと同じく etcd にある。TaskRun はちょうど 1 つの Pod に対応するので、あるタスクの step 同士はファイルシステムとネットワーク名前空間を共有する。逆にタスクをまたいでデータを渡すには、永続ボリュームのような workspace を明示的に用意する必要がある。
紛らわしいことに「Tekton」はファミリの名前でもあり、コンポーネントの名前でもある。ファミリには Triggers (受け取ったイベントから実行を作る)、Chains (ビルド成果物に署名し provenance を出す)、Results (実行履歴の長期保管)、CLI の tkn、Dashboard、Operator、Hub が含まれる。このディープダイブが扱うのは Tekton Pipelines、つまり CRD を定義してワークロードを走らせる中核のコンポーネント。
いつ使うか
- すでに Kubernetes を運用していて、CI/CD を同じクラスタ上のオブジェクトにしたい。RBAC もアドミッション制御も監査ログも同じものが効く。
- 同じパイプライン定義を、どのクラウドでもオンプレでも、準拠したクラスタなら無改造で動かしたい。
- デリバリのプラットフォームを他チームに提供する側にいる。Tekton は意図的にフレームワークで、プリミティブを提供し、製品としての体験はその上に作る側に委ねる。Red Hat OpenShift Pipelines や IBM Cloud Continuous Delivery はその上に作られた製品。
- サプライチェーンの provenance を重視していて、署名と SLSA 属性の生成を実行基盤そのものに組み込みたい。Tekton Chains がその役目を担う。
向かないケース:
- Web UI とマーケットプレイスがあり、運用するクラスタも要らないホスト型の体験がほしい。そこは GitHub Actions や GitLab CI に分がある。
- ワークロードがコンテナではない、あるいは Kubernetes クラスタを持っておらず持ちたくもない。Tekton には他の実行モデルが無い。
このディープダイブの構成
- 歴史: どこから来て、なぜ存在するのか。
- アーキテクチャ: コンポーネントとリクエストの流れ。
- 採用事例・エコシステム: 誰が動かし、周囲に何があるか。
- 内部実装: ソースから読んだ重要なコードパス。
- はじめに: インストールして最初の構成を動かす。
出典
- Tekton Becomes a CNCF Incubating Project, CNCF, 2026-03-24.
- A Year of Tekton, CD Foundation, 2019-11-15.
- Introducing the Continuous Delivery Foundation, Google Open Source Blog, 2019-03.
- The Tekton Pipelines Beta release, Google Open Source Blog, 2020-05.
- Tekton Graduation, tekton.dev, 2022-10-26.
- Tekton Incubation Application (cncf/toc#1310), CNCF TOC.
- Tekton Moves to the CNCF, CD Foundation, 2026-03-24.
- Tekton documentation, tekton.dev.
- Tekton DevStats, CNCF.