採用事例・エコシステム
誰が使っているか
Tekton のリポジトリに ADOPTERS ファイルは無い。以下の名前は、プロジェクトの CNCF incubation 申請と、CNCF による受け入れ発表から取っている。申請には Apple も載っているが「要確認」の扱いなので、ここには含めない。
| 組織 | 用途 | 出典 |
|---|---|---|
| 申請に記載のアダプタ。プロジェクトの寄贈元でもある | cncf/toc#1310 | |
| Red Hat | 申請に記載のアダプタ。Tekton の上に OpenShift Pipelines を出している | CNCF, 2026-03-24 |
| IBM | 申請に記載のアダプタ。Tekton の上に IBM Cloud Continuous Delivery を出している | CNCF, 2026-03-24 |
| CloudBees | 申請に記載のアダプタ | cncf/toc#1310 |
| Nubank | 申請に記載のアダプタ | cncf/toc#1310 |
| Marriott Vacations Worldwide | 申請に記載のアダプタ | cncf/toc#1310 |
| OneStock | 申請に記載のアダプタ | cncf/toc#1310 |
| SolarWinds | 申請に記載のアダプタ | cncf/toc#1310 |
| Ozone | 申請に記載のアダプタ | cncf/toc#1310 |
| Kaiju.ci | 申請に記載のアダプタ | cncf/toc#1310 |
| Puppet | CNCF の受け入れ発表に名前が挙がる | CNCF, 2026-03-24 |
| Ford Motor Company | CNCF の受け入れ発表に名前が挙がる | CNCF, 2026-03-24 |
注目すべき傾向として、大きな名前のいくつかは自分で動かすエンドユーザーではなく、製品の中に Tekton を組み込んで出しているベンダーだという点がある。Red Hat OpenShift Pipelines と IBM Cloud Continuous Delivery はどちらも、利用者の大半が Tekton として意識しないままの Tekton 導入を意味する。
採用の指標
CNCF の発表より、2026-03-24 時点 (CNCF): GitHub star 11,000 超、PR 5,000 超、issue 2,500 超、プロジェクトの歴史を通じた contributor 600 人超。
incubation 申請より: 直前の 6 か月で 10 件以上の貢献をした contributor が 60 人超。Artifact Hub には Tekton の task が 350 件超。コンポーネント別のメンテナ数は Pipelines 13、Results 11、Triggers 5、Chains 5、CLI 5、Operator 5、Dashboard 4。単一コンポーネントのプロジェクトならリスクが高いところで、7 つのコンポーネントにそれぞれ 5 人以上が付いている広がりこそ、incubation の審査が見るもの。
リリースは月次で、長期サポート版が年 4 回、1 月・4 月・7 月・10 月 (releases.md)。継続的な活動量は Tekton DevStats に公開されている。
エコシステム
Tekton ファミリ。いずれも同じ CRD を読む別々のコントローラ。
- Triggers: webhook などのイベントを受けて
PipelineRunを作る。これが無いと、実行の作成はクラスタの外にある何かがやることになる。 - Chains: 完了した実行を監視し、生成された成果物に Sigstore で署名して SLSA provenance を出す。Tekton は自分のリリースイメージの署名にこれを使っている (
releases.md)。 - Results: 完了した実行を保管し、履歴が etcd の保持期間より長く残るようにする。
- CLI (
tkn)、Dashboard、Operator、Hub: 人間向けの面とインストールの面。
プロジェクト自身が挙げる統合先: GitOps の Argo CD、ワークロード ID の SPIFFE/SPIRE、Chains 経由の Sigstore、CloudEvents、メトリクスとトレースの OpenTelemetry と Prometheus、Operator を通じた Helm、task カタログの Artifact Hub。リポジトリにも pkg/spire/ と pkg/tracing/ がある。
商用ディストリビューション: Red Hat OpenShift Pipelines と IBM Cloud Continuous Delivery (CNCF)。Red Hat の Pipelines as Code は Tekton の上に載る開発者向けのレイヤ。
代替
| 代替 | どこが違うか |
|---|---|
| Argo Workflows | 同じく Kubernetes ネイティブで、同じく DAG を CRD で書く。Argo は汎用のワークフローエンジンで CI/CD はその用途のひとつ。Tekton の API は CI/CD の名詞で切られている。実務ではデータパイプラインに Argo Workflows、デリバリに Tekton や Argo CD、という併用も多い |
| GitHub Actions, GitLab CI | UI とマーケットプレイスを備え、運用するコントロールプレーンが無いホスト型の製品。引き換えに、クラスタ間のポータビリティと、パイプラインを Kubernetes オブジェクトとして扱えることを失う |
| Jenkins, Jenkins X | 既存勢力であり CDF の兄弟。Jenkins X は実行エンジンとして Tekton を採用した。両者の位置関係を物語っている |
| Dagger | パイプラインを汎用言語のコードとして書き、コンテナで実行する。Kubernetes のカスタムリソースではない。ローカル再現性は上、クラスタネイティブな RBAC や監査の話は無い |
| Concourse | 同じくコンテナベースで宣言的だが、Kubernetes の CRD ではなく独自のスケジューラとリソースモデルを持つ |
結局の問いは「CI/CD を Kubernetes のオブジェクトとして表現したいか」に集約される。したいなら候補は Tekton と Argo Workflows で、選択は CI/CD 型の API が助けになるか邪魔になるかで決まる。したくないなら、ホスト型の製品のほうがほぼ確実に手間が少ない。